はじめに
自己流ですが、今回はCLIP STUDIOの機能のひとつ、ベクター線を使った描き方を順に追って解説してみたいと思います。
ベクター線を使うと安定したキレイな線を描くことができます。
通常のラスターレイヤーでの描き方よりちょっと癖がありますが、分かってしまえばとても簡単で使いやすいです。
今回の記事は、このう〜のんをベクター線で描いていきます!
下準備
まずは普通にラスターレイヤーに下描きを用意します。
後ほどペン入れしやすいように、自分が見やすい範囲で不透明度を下げます。
新規ラスターレイヤーのすぐ横に、新規ベクターレイヤーを作成する場所があるので押します。
アイコンのついたレイヤーが作成されます。
ペン入れのためにペンを選択します。
私はなんとなくGペン大好きなのでGペンを選択しましたが、ペン入れの意識で自由に選択してください。
線の太さは後ほど自由に変えることができるので、今はブラシサイズは描きやすいサイズで好きにして大丈夫です。
体を描いてみる
では実際にベクターレイヤーに描いていきます!
下描きに沿って線を引いてみました。
一見なんの変哲もない普通の線なのですが、ツールバーにある制御点を選択し、カーソルを線に合わせてみると緑色の制御点がたくさん設置されているのがわかります。
切れ目のない一本線は、制御点同士が赤色の線でリンクしている状態になっています。
制御点の移動
う〜のんの体がちょっと歪んでいて可哀想なのでキレイな線にしてあげます。
ツールバーから制御点を選択した状態で、ツールプロパティの処理内容を制御点の移動に合わせます。
ドラッグ&ドロップで線の上にある制御点を移動させることができるので、下描きの線に沿うように制御点を移動してみます。
沿っているかわかりやすいように線の不透明度を下げてなぞっていきます。
全部の制御点を下描きになぞることができました!
制御点の数が多かったので大変でした...。
でもまだなんとなく線がよぼよぼしてしまっていてキレイじゃないですね。
制御点同士がリンクしているので、引っ張り合ってこうなってしまいました。
大げさに説明してみると、こういう感じに隣接した制御点がそれぞれ位置のバランスを取ろうとして、結果歪んでしまったりします。
制御点を減らす
制御点が多すぎて移動が大変ですしバランスが取りにくいので、制御点を減らしましょう!
ツールプロパティの処理内容を制御点の削除に合わせます。
削除したい制御点をクリックすると、その制御点を消すことができます。
この線は角がなく円に近いので、制御点がある程度均等になるように削除していきます。
制御点を減らしただけでなんとなく安定したカーブになりました。
それでもまだ線がよぼよぼしているのは制御点が設置されている位置のせいになるので、等間隔に配置されるように下描きを意識しながら制御点を移動させてみましょう。
ベクター線単純化
どうでしょうか、かなりキレイな線になったのではないでしょうか!
ちなみに今更ですが...制御点を一つずつ削除しなくてもベクター線単純化を選択し、単純化の強弱を指定し、単純化したい線の部分をなぞると簡単に均等に減らしてくれます。
クリスタさんの機能性は知れば知るほどとてもすごくてとても便利...。
腕を描いてみる
では次に腕を描いてみます!
体の線と重なることになるので後ほど融通が効くように新規ベクターレイヤーを作成して、先程の体と同じようになぞってみます。
ここでちょっとベクター線について理解を深めたいと思うのですが、ベクター線はカーブの強さに比例して制御点が多くなります。
なので逆に、真っ直ぐの線に近づくほど制御点は少なくなります。
それを頭の片隅に置いておきつつ...今回も制御点が多いので、先程と同じように単純化で制御点を減らします。
均等な間隔で減りすぎて歪んでしまいました...。
一見先程の方がよかった気がしますが、そんなこともないです。
手描き感を残したいのなら制御点は多くてもいいのですが、ツルッとした線にしたい場合は極力制御点は少ないほうがキレイな線になります。
制御点を下描きに沿って移動してみます。
真っ直ぐに近いところの制御点は少なくなるように配置します。
制御点の追加
腕の先端がガクンとなってしまっているのは、カーブが急なのに制御点が少なすぎるせいなので制御点を少し増やしてみましょう。
制御点を3つほど増やしてみました。
形を整えながら移動します。
キレイな線の腕ができました!
線幅修正
う〜のんの体と腕が描けましたので、線幅全体が等しくなるように変えてみましょう。
サブツールから線幅修正を選択し、一定の太さにするにチェックを入れます。
太さはお好みで...。
ベクター線単純化の時と同じように、線幅を修正したい箇所の線をなぞっていきます。
今回は体と腕の線を同じ太さにしたいので、体と腕のベクターレイヤーでそれぞれ漏れのないようになぞります。
体と腕の線が同じ太さになりました!
顔を描いてみる
新規ベクターレイヤーで顔の中身を描き、線幅修正で統一しました。
まずは目から見ていきましょう。
ここまでは無視してきましたが黄色い制御点は角になります。
角や線の一番端に作られます。
(本来は、キレイな線が引けていれば線の端に角の制御点は1つだけ作成されるのですが、手描きだと大体無意識の跳ねが入ってしまい、角の制御点が複数作成されます...が、よくあることなので気にしなくて大丈夫です)
角は端っこにたくさんある必要がないので、全体的な制御点を少なくするついでにひとつだけ残して削除してしまいましょう。
角の制御点は角にひとつは必要になります。
全部消そうとすると、線自体が消えてしまいます。
続いてほっぺをいじってみます。
う〜のんのほっぺは直線が2本なので、今回は必要な角以外の制御点を全部削除してみます。
キレイな直線ができました!
では次に口をいじってみましょう。
う〜のんの口はあまりカーブがないので、単純化で制御点を減らしてしまいましょう。
一気に減りましたが、角には角の制御点が設置されていますね。
ベクター線つなぎ
左上に穴が空いているので移動で穴を塞ぎます。
ついでに必要な制御点を追加しつつ形を整えました。
一見左上の穴は塞がっていますが、これではまだベクター線としては一本線の扱いになっています。
イメージ的には、ブタさんのシッポのような感じでしょうか...交差はしているけど合体はしていないですよね。
キレイな線にするために、ブタさんのシッポにはドーナツになってもらいます...!
サブツールからベクター線つなぎを選択します。
繋ぎたい箇所をなぞると、線が合体しました!
これでドーナツになりましたので、移動でどんなに制御点を引っ張っても穴があくことはありません。
線の状態ではできなかった、角の制御点を全部削除することもできます。
後はまた今まで通り、余計な制御点を消したり移動して形を整えたら、顔の完成ですね!
体と腕の交差点に穴をあける
いつもならこの辺りでラスターレイヤーに変換して消しゴムで簡単に終わらせるのですが...今回は最後までベクター線にこだわって仕上げてみようと思います!
う〜のん最後の仕上げに、体と腕の交差点に穴をあけて、くっついてるようにしてあげます。
この体と腕が交差した真ん中の部分だけ削除したいのですが
そのまま制御点を削除すると、せっかくキレイに整えた体の形が大きく変わってしまったり、角の制御点を削除してしまえば線自体が消えてしまうことになってしまいます。 なので先程のブタさんのシッポのドーナツ化とは逆に、一見一本の線に見えるけれど別々の線にしてしまいましょう。
線の切断
制御点のツールプロパティから処理内容を線の切断に合わせます。
この状態になると、制御点同士がリンクしている赤い線上のどこでも、クリックした場所に角の制御点が追加され、その制御点を区切りに別々の線になります。
交差点をクリックすると線が切断されました。
わかりにくいので...クリックしたところに作成された角の制御点を移動してみると、一見繋がっていても別々の線になったのがわかりますね!
そんな感じで下の交差点も切断すると体のベクターレイヤーは3つの線に分断されるので、消したい場所が独立します。
交差点の中の制御点を全部削除して、角の制御点のズレによりちょっと歪んでしまった線の形を整えれば...
ベクターう〜のんの完成です!
もうう〜のんの制御点をいじることはないので、ベクターレイヤーを統合します。
ラスタライズすれば、通常のラスターレイヤーの線になります。
完成する前にベクターレイヤーにラスターレイヤーを統合してしまったりすると、ラスターレイヤーになってしまい制御点を修正することができなくなってしまうので注意です。
一応レイヤーの変換でラスターレイヤーからベクターレイヤーに変えることもできますが、形がかなり変わってしまうので修正が大変です...。
残りも同じように描いてしまえば...
安定した線画が完成しました!
色を塗ってみれば...
秋色う〜のんが完成しました!
おわりに
以上がベクターレイヤーを使った線の描き方になります。
ラスターに慣れているとベクターは最初はちょっと癖があり難しいですが、なんとなくわかってくるととても面白くて便利な描き方です。
是非ベクター描きを習得して、お絵描き楽しんでください!
ここまで拝読くださりありがとうございました^^
おまけ
その他の、ベクター線を使って描いたう〜のん達ヾ(〃^∇^)丿